1 「TOKIWAKAI Vision 2030」策定の背景

明治38(1905)年、大阪府師範学校同窓会「友松会」会員の情熱と決意によって同窓会「常磐会」が創設されました。以来、昭和2(1927)年、師範学校の隣地に「常磐会幼稚園」を開園、昭和28(1953)年、常磐会幼稚園教員養成所の開校、昭和30(1955)年、学校法人常磐会学園を設立、昭和39(1964)年、常磐会短期大学保育科を開学、平成11(1999)年、常磐会学園大学国際コミュニケーション学部を開学しました。同窓会「常磐会」創設120周年以来脈々と「常磐会」の精神である「和平 知天 創造」を掲げて、学校法人常磐会学園創設70周年の歩みを続けてまいりました。

しかしながら現在の我が国では、労働人口の減少による人材不足や次代を担う人口の激減という深刻な課題を抱え、また生成AIの登場や産業技術の革新は、日々の労働や暮らしのみならず、私たち人間のあり方にも大きな影響を及ぼすものとなってきています。そして、このような状況は、乳幼児期や学童期の子どもたちの保育・教育の営みと保育者・教員養成機関である常磐会学園にも多くの課題を投げかけています。特に、昨今の若者たちが専門職としての保育者や教職者に魅力を感じなくなり、乳幼児期・学童期の子どもたちの育成や福祉を必要とする人たちの支援を志すことに翳りが起きているように見えることは危機的な状況であると考えています。

しかしながら現在の我が国では、労働人口の減少による人材不足や次代を担う人口の激減という深刻な課題を抱え、また生成AIの登場や産業技術の革新は、日々の労働や暮らしのみならず、私たち人間のあり方にも大きな影響を及ぼすものとなってきています。

そして、このような状況は、乳幼児期や学童期の子どもたちの保育・教育の営みと保育者・教員養成機関である常磐会学園にも多くの課題を投げかけています。特に、昨今の若者たちが専門職としての保育者や教職者に魅力を感じなくなり、乳幼児期・学童期の子どもたちの育成や福祉を必要とする人たちの支援を志すことに翳りが起きているように見えることは危機的な状況であると考えています。

常磐会学園は、前述の歴史の中で様々に変化していく社会状況下にありながら、建学以来の校是「和平 知天 創造」を礎に、保育・教育・福祉をリードする人材を輩出してきました。そして今、将来に向けて、さらなる発展を続けるために学園が一丸となって大阪常磐会大学と校名変更して社会に向けて掲げ、改革を続けようとするものです。

よって、ここに常磐会学園は、まず二つの強い意思を表明します。ひとつは、本学園の歴史と実績の上に立ったこの伝統は、今後も継承し守っていくという強い意志であります。つぎに近年の課題を捉え、今までの枠を超えて自ら変革し、新たな「常磐会学園」の創造に向けた挑戦を続けるという強い意志であります。

この常磐会の使命を再確認したうえで、大きな変革が求められている現在、新たな時代に沿った「TOKIWAKAI Vision 2030」を策定し、今後もさらに高い資質、能力を培い、実践力のある人材の育成に向けて取り組んでまいります。

2 2030年に向けたミッションとめざすべき大学像

現在のわが国では、共働き家庭の普遍化や子ども虐待・DV、外国籍家庭の増加、子どもの貧困問題など家族の変化や抱える問題の深刻化とともに、心身の発達課題の多様化など配慮や支援が必要な子どもたちが増加しています。またAIをはじめ情報技術の目まぐるしい進歩や複雑化する社会の中において、次代を担う子どもたちへの新たな保育・教育・福祉を創造し、質の高い保育・教育の充実を図ることは最優先課題です。

本学園は、初代理事長 西脇りか による建学の精神「和平 知天 創造」を校是と掲げ、長い歴史の中で、他者を尊重し、使命感を持って、子どもたちの保育・教育・福祉を創造し担う人材を養成してまいりました。この校是に裏付けられたミッションは、今後も引き継ぎながらも伝統に甘んじることなく、新たな時代の課題に対応する高等教育を先導し、常磐会でこそなし得る人材養成に尽力します。

そして、学生が主体的な学びに取り組み、大学の教育運営に積極的にかかわることにより自分自身の成長と学友とともに学ぶ喜びを実感できる学修者本位の教育を追求することで、先達たちが志した「卒業しても、学び舎と学友を慕い、同窓として集いたいと願う学園」であり続けることをこのVisionに掲げます。

3 2030年に向けたミッションとめざすべき付属園像

乳幼児期からの保育・教育は、人が人として成長していくうえで、生きる力を身に付け、人間形成の基礎を培う普遍的かつ重要な役割を担っています。また、共働き家庭の普遍化と少子社会の深刻化を背景に乳幼児期の育ちを社会的に支え、担う認定こども園の役割は、今後ますます重要性を増していきます。

本学の建学の精神「和平 知天 創造」に裏付けられたミッションは、付属園にも脈々と引き継がれていますが、新たな時代の課題に対応する乳幼児教育・保育を先導し「子どもの主体を尊重し、豊かな感性と好奇心、思考力を育む」保育に取り組んでまいります。子どもたちが積極的に他者や環境と主体的にかかわることにより、自身の成長とともに、暮らしのなかで学ぶ喜びを実感できる保育・教育を保護者や地域のさまざまな人たちと協働、追求します。

また、常磐会幼稚園に隣接する「常磐会学園こどもセンター」の充実発展をめざして、地域に貢献する学園であり続けることをこのVisionに掲げます。

TOKIWAKAI VISION

4つの方針と重点目標

常磐会学園は、以下の4つの方針を示し、具体的作業計画を中期計画において策定し、その進捗状況についてPDCAサイクルの道筋に立った質保証体制のもと、これらを検証し改善と発展を進めてまいります。

学園設立以来掲げている校是
−建学の精神−

和平 知天 創造
1 教 育
  • ・専門教育の充実
  • ・多様な学習方法の推進
  • ・成長の可視化
  • ・保育・教育・福祉を社会に発信
2 園児・学生支援
  • ・学生の自立活動の支援
  • ・持ち味、個性を引き出す
  • ・キャリア支援
  • ・リカレント教育支援
3 地域連携・
社会貢献
  • ・地域連携教育組織の創造
  • ・教育機関、施設との連携協定
  • ・研究成果の地域還元
  • ・地域貢献事業の推進
4 運営組織
の改革
  • ・経営、財政の健全化
  • ・業務の効率化・見直し
  • ・各種ルールの再整備

1 教 育

重点目標

学生が教育・保育・福祉の使命感を養い、専門職として働く楽しさに目覚め、一人ひとりの子どもたちの個性を尊重し、寄り添いあえる人材を育てます。

  1. 建学の精神「和平 知天 創造」の浸透を通して、多様性と個の尊重による共生という理念を培う人権教育を推進します。
  2. FD・SD活動の推進により、現代に求められる教養教育と専門教育を踏まえて教育カリキュラムのさらなる充実を図り、学士課程の質保証に取り組みます。
  3. 大学と付属園との連携、実習、進路支援体制をさらに充実するとともに、卒業生をはじめとするリカレント教育を推進し、生涯にわたって学び続ける場を提供します。
  1. 学生の主体的な学びを形成し、アクティブラーニングや課題解決型学習、地域の人たちとともに体験する行事や事業など、教職員と学生とが協働する多様な学習方法を推進します。
  2. アセスメントポリシーの策定および教学IRの取り組みによる学習成果の把握と学生へのフィードバックを通じて、学生の成長を可視化します。
  3. アドミッションにおける高大接続のあり方を検討し、保育・教育・福祉に就く使命と楽しさを社会に発信していきます。

2 園児・学生支援

重点目標

個々の園児と学生の個性と可能性、主体性を伸ばすために、自己肯定感形成を図る丁寧な支援を行い、多様な体験を通じて仲間と共に育ちあえる場を提供します。

  1. 学生は学園の重要なステークホルダーとして認識し、学生が学園の運営に主体的に関与できるように学生自治会等の学生による自主活動を尊重し支援します。
  2. 合理的配慮等の支援体制を推進し、園児と学生一人ひとりの持ち味や個性を引き出していきます。
  1. 現代に求められるキャリア教育・支援について一層の推進を図るとともに、リカレント教育による生涯の学び直しに対応できる支援を行います。
  2. 園生活・大学生活が楽しく充実したものになるように学園の施設や設備の充実を図ります。

3 地域連携・社会貢献

重点目標

保育・教育・福祉現場との実践と大学教育の好循環を創り出すとともに卒業生や地域の資源を活かしながら社会貢献活動を推進し、その成果を地域、社会に還元します。

  1. 地域の課題と向き合い、地域と協働し、ともに育ちあうために地域連携教育組織を創造します。
  2. 保育・教育・福祉の現場とのさらなる連携を強化し、質の高い専門職養成に努めます。
  1. 教員や学生の研究支援に積極的に取り組み、その成果を社会に還元します。
  2. 行政との連携協定をはじめ、教職員や学生による地域貢献事業を推進します。

4 運営組織の改革

重点目標

経営戦略を明確化し、組織や業務の効率化、運営の見直しを進め、より一層の財政の健全化を図ります。

  1. 経営改善計画に従い進捗状況を管理し、「常磐会」の伝統の灯を掲げ続けます。
  2. ガバナンス・コードの策定と遵守状況の公表および教学マネジメント体制の構築等を通じてPDCAの改善循環を進め、学園運営と教育の質保証に取り組みます。
  1. 組織および諸規程の全面的見直しによる全学園の園児・学生教育・支援体制の構築に取り組み、社会から信頼される高等教育機関としての運営をさらに進めていきます。
  2. 人材育成と人事考課のあり方について検討し、システムの構築を進めます。

5 おわりに

学校法⼈常磐会学園は、⼤阪常磐会⼤学・⼤阪常磐会⼤学短期⼤学部、⼤阪常磐会⼤学付属常磐会幼稚園、⼤阪常磐会⼤学付属いずみがおか幼稚園、⼤阪常磐会⼤学付属茨⽊⾼美幼稚園、常磐会学園こどもセンターとともに、
「和平 知天 創造」の建学の精神を堅持しつつ、常磐会学園の社会への存在価値を⾼めていくことをめざします。

今後もなお⼀層変化し続ける社会の新たな課題を受け⽌め、保育・教育・福祉を通して社会の発展に貢献するために常に改善と挑戦を続けてまいります。

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